気ままに歩いていると

多くの人々が通る順路から離れて、明確な目的があるわけでもなく、気ままに歩いてみたくなることはありませんか。

南参道から正参道そして本殿へと伺い、いつもなら来た道をそのまま戻るのですが、その日は西参道へ歩みを進めてみました。この地が１００年ほど前に、多くの人々の手により造られた人工の杜だとは、想像すらできないほどの豊かな広がりをもっています。

人の手が加えられなくとも育つ、永遠の杜を目指し、当時の英知が結集され造られたそうです。先ずは赤松・黒松が育ち、次に檜・杉などの針葉樹が杜を形成し、さらに、椎・樫などの照葉樹が将来の主木となるよう、林苑計画が作られたそうです。そうして１００年後、今私が感動している、見事な杜が計画通りに成長し続けています。

大木に囲まれ、鳥たちのさえずりを聞きながらの散策は、森林浴を楽しめた気分ですし、それ以上の安らぎを与えていただきました。

杜を抜けると、広大な庭と池があり、近くの保育園児と思われる子供たちが楽しそうに走り回っていました。大人だけではなく、子供たちにとても、憩いの場となっているようです。

宝物殿

さらに庭を進んで行くと、近代的で荘厳な建物があり、その門構えはデザイン性に富み素晴らしいものでした。これらの建築物は、国の重要文化財に指定された宝物殿でした。

宝物殿は奈良の正倉院を模した校倉風大床造りの建物で、１９２１年（対象１０年）に完工されました。

宝物殿の中では　「気韻生動（きいんせいどう）ー平櫛田中と伝統を未来へ継ぐ者たち」を開催していました。

平櫛田中以外は現代の作家作品が展示してあり、宝物殿という場所での展示から勝手に想像していた展示内容とかなり異なっていました。まさかこのような作品が展示されていようとは、最も驚いた作品の一つが

名和晃平　《Throne（g/p_pyramid)》です。これは２０１８年パリのルーブル美術館ガラスのピラミッドに、展示した「Throne」の約1/7のスケール作品です。ちなみにスローンは玉座を意味するそうです。

        名和晃平  　Throne（g/p_pyramid)